「極めて稀」4歳・6歳・9歳・12歳の4姉妹、同じ脳の病気で麻痺の恐れ

2026年2月6日

四姉妹が直面した同じ病

米国ウェストバージニア州の一家で、現在4歳・6歳・9歳・12歳の四姉妹が同じ脳疾患「キアリ奇形」と診断された。家族を襲った出来事は極めてまれで、放置すれば麻痺に至る可能性があるという。

両親のポールさんとアシュリーさんは、最初はただ「育てにくい時期」だと思っていた。だが末娘のオースティンちゃんが泣きやまず、睡眠が浅く、細かなふるえを示したことで、事態は一変した。

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最初の発見と連鎖する診断

生後18カ月で行ったMRIと遺伝学的検査により、オースティンちゃんに「キアリ奇形」が判明した。小脳の一部が頭蓋底から脊柱管へ垂れ込み、脳脊髄液の循環を妨げていた。

重度の圧迫が見つかり、オースティンちゃんは減圧手術をニューヨークで受けた。家族は日常を回しながら、未知の不安と向き合わざるを得なかった。

人生は止まってくれません。子どもはほかに5人いて、毎日は続く。でも私たちは本当に怖かったんです」——母アシュリーさん

姉妹それぞれの症状と治療

次女アメリアちゃん(当時3歳)は、当初はライム病の疑いで検査を受けた。ところが画像でキアリ奇形と「脊髄係留(テザー)」が見つかり、2023年10月に二重手術を受けた。

三女オーブリーちゃん(当時7歳)は、繰り返す尿路感染と性格の変化が気がかりだった。MRIでキアリ奇形と係留が判明し、2023年11月に手術が実施された。

長女アダリーさん(当時11歳)は、長年脚の痛みが「成長痛」と見なされてきた。だが2025年3月、やはりキアリ奇形と係留が確認され、適切な治療に踏み切った。

キアリ奇形とは何か

キアリ奇形(アーノルド・キアリ奇形I型)は、小脳扁桃が大後頭孔から下方に突出し、脊髄や脳幹を圧迫する先天的な異常だ。これにより脳脊髄液の流れが乱れ、頭痛や頸部痛、平衡障害などが生じる。

重症例では嚥下や呼吸の異常、四肢のしびれ・脱力が起きることもある。放置すると神経障害が進み、最終的に麻痺に至る危険がある。

希少性と遺伝の手がかり

有病率は約2000人に1人とされ、家族性は約1割にとどまる。兄弟姉妹4人が同時に罹患する事例は、医師が「ほぼ前例がない」と語るほど珍しい。

一部の患者では5%程度の頻度で「脊髄係留」を合併する。これは脚の痛みや疲労、排尿トラブルを引き起こし、放置すれば不可逆な障害に進展し得る。

診断と治療の最前線

診断の基本はMRIで、脳から脊柱までの連続的な評価が鍵となる。子どもでは労作性頭痛、ふらつき、側弯、持続する脚痛、繰り返す尿路感染、意味不明の激しい泣きなどが手がかりだ。

治療の中心は後頭蓋減圧で、必要に応じて脊髄の係留解除を行う。経験豊富な専門施設での集学的な判断が、長期の予後を左右する。

家族が受け取った「ふつうの毎日」

姉妹の手術を担当したグリーンフィールド医師のチームは、症状の多彩さに即して個別化した方針を選んだ。術後、子どもたちは少しずつ笑顔と日常を取り戻している。

アシュリーさんは「医師が私たちの家族を取り戻してくれた」と語る。親としての直感を信じ、次々に検査へ踏み出した決断が、四姉妹の未来を切り開いた。

気づきのサインと支援策

  • 反復する頭痛や頸部痛、説明のつかない脚痛が続くなら受診を検討。
  • 子どもが泣きやまない、睡眠が極端に浅いなど、行動の変化に注意。
  • 尿路感染の反復や歩行のふらつき、学校での集中困難は要チェック。
  • 早期のMRIと専門医の連携が、治療の好機を逃さない鍵。
  • 術後はリハビリと定期フォローで、再発や合併症を予防

「稀」でも取り残されないために

キアリ奇形は稀少だが、適切な時期に介入すれば生活の質は大きく改善する。家族と医療者が情報を共有し、必要なときに必要な支援へつながることが大切だ。

四姉妹の歩みは、見えにくい症状の背後に病気が潜むこと、そして疑問を放置しない勇気が命を守ることを教えてくれる。小さなサインを見逃さず、一歩早く動くことが、子どもたちの未来を守る最善の道だ。

山本 翔太
山本 翔太
フィットネスと格闘技を愛するスポーツライター。大学でスポーツ科学を専攻し、国内外のアスリート取材を通じて「挑戦する心」をテーマに記事を執筆。APFでは、トレーニングとメンタルの両面からパフォーマンスを掘り下げています。

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