私は神経内科医として、脳卒中の多くは予防できると確信している。データは生涯で4人に1人が経験すると示し、しかし80%は避けられる。いま始める小さな習慣が、将来の脳を守る。
「予防は今日の選択の積み重ねであり、明日の後悔を減らす最善の医療だ。」
数値を知ることは命を守る
最初の鍵は自分の数値を知り、定期的に監視することだ。40歳以降は血圧を半年ごとに測り、目安は120/80mmHgだ。高血圧は自覚症状が乏しく、血管を硬化させて破綻を招く。年1回の採血で、LDLコレステロールと空腹時血糖を確認する。体重とBMIも把握し、25未満を維持する。
- 血圧:120/80mmHg前後を目標
- 脂質:LDLは可能な限り低く
- 血糖:空腹時血糖を定期に測定
- 体格:体重とBMIを継続管理
動く脳をつくる日常の運動
身体活動は最も強力な予防で、脳の環境を整える。週に数回、30分の有酸素運動を続けることが基本だ。内容は速歩、自転車、水泳、軽いランでよい。公園など緑地を選び、排気ガスや交通を避けよう。スポーツ嫌いでも階段、掃除、庭仕事が立派な運動になる。
食事で動脈の敵を見極める
最大の敵は塩分で、血管を硬くして血圧を上げる。1日の目安は5g未満で、食卓の塩は置かない。次に警戒すべきは超加工食品で、糖とトランス脂肪が潜む。惣菜、加工肉、スナック、清涼飲料は頻度を下げる。代わりに地中海型の食事、野菜と果物、青魚、オリーブ油、豆類、ナッツを中心に。
たばことアルコールに妥協なし
たばこは完全禁煙が唯一の選択だ。喫煙は慢性炎症を引き起こし、血栓と低酸素を招く。アルコールは「少量有益」という神話を捨てよう。原則は「毎日飲まない」で、飲むなら少量に抑える。
女性も脳卒中のリスクを直視する
女性も例外ではなく、心脳血管疾患は主要な死因だ。経口避妊薬と喫煙の併用はリスクを約20倍に高める。妊娠中の高血圧や妊娠糖尿病は将来の警告だ。産後に症状が消えても一生のフォローを続ける価値がある。更年期ではエストロゲン低下とコレステロール上昇でリスクが近づく。
これら五つの柱は相互に補完し、脳のレジリエンスを高める。大切なのは完璧より継続で、今日できる一歩から始めよう。